どうも野球好きのためのフォーラムサイトgeek894.com管理人の894です。
今回は、先日アストロズの青木選手が野手でありながら中継ぎ登板したことが話題になったことを受けて、野手を投手として登板させることのメリットとデメリットを考えてみようと思います。
個人的には負け試合で中継ぎを酷使するくらいならファンサービスも兼ねて野手を登板させてもいいと思っているタイプです(笑)
青木宣親選手の登板の様子
先日日米通算2000本安打を達成したばかりの青木選手ですが、今度は「メジャー初登板」という形で注目を浴びることになりました。
結果は1安打2四球3失点という内容だったものの、急な登板にもかかわらずしっかりと1イニングを投げ抜きました。
最速は78マイル(約126km/h)でしたが、現在メジャー1番の注目株であるNYYのアーロン・ジャッジから空振りを奪い見事センターフライに打ち取ったことも話題になりましたね(笑)
ベンチスタートからマウンドに送り出された青木は先頭のトレイエス、ウェードと連続四球を与え、カーターのタイムリー二塁打で失点。それでもその後はヒットを許さず。ガードナーにはライトへの犠牲フライを浴び、エルズベリーの遊ゴロの間にさらに1点を失ったが、最後は今季27発の強打者ジャッジを中飛に打ち取った。
ちなみに、MLBで登板した日本人選手は今回の青木選手で42人目で、野手で登板したのは昨年のイチロー選手以来2人目だったそうです。
野手の登板はMLBでは珍しいことではない
昨年のイチロー選手のメジャー初登板のニュースも記憶に新しいことですが、MLBでは野手が敗戦処理として中継ぎ登板することはあまり珍しいことではないようです。
正確な数字は探せませんでしたが、何年かに一度という頻度ではなく割と毎月一人くらいは野手が中継ぎとして登板しているイメージがあります。
2009年には、開幕から6週間で5人の野手が登板したという例もあるようです。
順位が概ね確定してきた後半戦で野手の登板が増えるのはわかりますが、前半戦からこの数字はたしかに驚きかもしれませんね。

さらに記憶に新しい出来事としては、2015年に「1試合野手2人登板」という珍事が2日続けて起こったこともあります。
このようにMLBでは野手が敗戦処理として中継ぎ登板することはさして珍しいことではありません。
NPBでの野手登板
MLBでは野手の登板が珍しいことではないと書きましたが、NPBにおいてはやはりそう多くないことです。
このリンク先によると、NPBの公式戦での野手登板はたったの4例のみです。
公式戦以外の例では、1996年のオールスターゲームでのイチロー選手(当時オリックス・ブルーウェーブ)の登板が有名ですね。
この理由はMLBに比べて試合日程が過酷ではないことや、投手枠にも余裕が有ることが大きいのかもしれません。
野手を登板させることのデメリット
さてさてようやく本題です(笑)
まずは、野手を登板させることのデメリットとして自分なりに思いついたことをいくつか書いてみます。
その試合を放棄したことを認めてしまう行為である
野手の登板が一番嫌われる理由は「その試合に勝つことを諦めた行為」とみなされるためではないでしょうか。
実際、野手が登板することになるシチュエーションで最も多いのは大量点差で負けている場面です。
例えば、昨年ソフトバンク対オリックスの試合で起こった22-6のような点差の場合、この点差をひっくり返すのは今の広島の好調打線であってもかなり難しいでしょう。
MLBではこういった敗戦が濃厚(ほぼ決定的)な場面の終盤で投手の消耗を避ける目的で野手を登板させることが多いようです。
しかし、日本では「最後まで諦めずに戦うこと」ばかりが美徳とされがちなのでなかなか受け入れられ難いかもしれません。
もちろんたくさんのファンが見に来ているプロ野球の試合なので、最後まで諦めずプレーする姿勢を見せなければならないという考え方はあってしかるべきものだと思います。
打者としても対応に困る?
打者としても野手がマウンドに立った時の対応に困る場合があるかもしれません。
多くの場合、野手が登板するのはその試合の勝敗が決定的な場面です。
そのため、打者としては試合時間を余計に長くしないためにも凡退したい気持ちと、自身の記録のために通常通り打席に入りたいという気持ちになることもあるでしょう。
(もしかしたらファンサービスを優先させるべきかみたいな感情もあるかも(笑))
この辺は実際に野手が登板した時に打席に立った選手に聞かなければわからないことですかね(笑)
※1996年のオールスターでイチロー選手が登板した際に、当時のセ・リーグ監督である野村克也氏が松井秀喜選手の代打に高津臣吾投手を送り込んだのもこのような背景があったのかもしれませんね。
そもそもの技術的な問題
投手の代わりに野手に投げさせたからといって必ずしも1イニングきっちり投げ切れるとは限りません。
野手が登板した際に1アウトも取れなかったケースも少なからずあるようです。
遊びでもなんでも実際にマウンドから投げてみた経験のある方ならわかるかと思いますが、見た目よりも難しいんですよね(笑)
(私は本当に遊びでしかやったことがありませんが(笑))
プロ野球選手の多くがアマチュア時代に投手経験のあるようですが、高校時代に愛工大名電のエースだったイチロー選手でさえメジャーのマウンドで投げたあとは「2回目はいらないです。2度とピッチャーの悪口は言わないって誓いました。(球速は)最低90(約145キロ)、と思ってました。ショックですね」と語っていたほどです。
いろんな投手の投球論をみてもマウンドの重要性はよく語られていますよね。
(硬さであったりプレートの足の位置であったり踏み込む距離であったり)
それだけ「マウンドからボールを投げる」ということには特殊な技術が必要なのだろうと解釈しています。
急ごしらえの野手に登板させたところで、必ずしも思い通りの結果が得られるとは限らないでしょう。
また、慣れないマウンドからの投球のせいで怪我をしてしまう可能性も捨てきれませんね。
若手投手の経験の場が失われてしまう
敗戦処理の場が若手投手の育成の場として使われることがあります。
どうせ負ける試合なら若手の育成に使ったほうが効率的だという発想だと思うのですが、ファンとしても期待の若手の登板機会が増えるので嬉しいことです。
しかし、敗戦処理のために野手が登板することになると、この貴重な育成機会が失われてしまうことになります。
そう考えると選手枠に余裕のあるNPBでは野手を登板させるメリットよりも、若手投手の育成に使うメリットのほうが大きくなるかもしれません。
野手を登板させることのメリット
今度は逆に野手を登板させることのメリットを考えていきたいと思います。
投手の消耗を避けることができる
MLBで野手を登板させる最も大きな理由が「投手の消耗を避けるため」ですが、やはりこれが一番のメリットではないかと思います。
というのも、試合の日程や移動の過酷さをはじめ選手枠も日本に比べて制限のあるMLBではいかに投手の消耗を避けていい投手をシーズン通して投げさせるかが重要なポイントになっています。
そのため、敗戦が濃厚な試合でわざわざ中継ぎ投手を登板させて投球数を増やしてしまうよりは、野手を登板させることで投手の消耗を避けたいのです。
ファンサービスとしても面白い
個人的には、どうせ負け試合を見せられるくらいなら野手を登板させてくれた方が興行としても面白いんじゃないかと思っています(笑)
高校までは投手で現在は強肩の野手として活躍しているような選手が実際にマウンドに立つとどんな投球を見せてくれるのかは少なからず気になるものです。
ソフトバンクの今宮健太選手や広島の鈴木誠也選手がプロのマウンドに立つ姿は一度でいいから見てみたいですね。
昨年は楽天の松井稼頭央選手に救援投手プランがあるなどと騒がれたこともありましたね(笑)

次の試合に気持ちを切り替えやすい?
上で紹介した「1試合で2人の野手が登板」した際の監督2人が同じようなコメントを残しています。
レイズ・キャッシュ監督
「(終盤の2回に必要な)リリーフ投手2人を休ませてくれたのだ。これで我々は、フレッシュな状態で明日の試合に臨むことができる。」
インディアンス・フランコーナ監督
「我々は、(リリーフ投手である)ザック・マッカリスターを温存したかったのだ。幸い、今日は捨て試合。我々は、明日フレッシュな状態でスタートする。とはいえ、野手を登板させる事は楽しい事じゃないよ。」
※MLBで起こった25年ぶりの『珍事』 野手登板は大敗チームの「リセットボタン」 | ベースボールチャンネル(BaseBall Channel)よりそれぞれ一部引用
投手を温存するという選択は次の試合の継投策を考える上でも有利に働きます。
いくらリリーフ投手でも連日投げさせ続けることは長いシーズンを見据えるとマイナスです。
負け試合で消耗させるよりは、投手陣に休養を取らせて次の試合で高いパフォーマンスを発揮してもらったほうがチームとしてはありがたいというアメリカらしい合理的な考えですね。
このように首脳陣にとっても、野手をうまく活用することで次の試合に気持ちを切り替えやすいという効果も少なからずありそうです。
MLBでは野手から投手にコンバートされる例もある
余談ですが、MLBでは野手でデビューした選手が後に投手にコンバートされるという例があったりします。
日本では投手から野手になるパターンが多いので逆のパターンですね。
有名な選手だとナックルボーラーとして200勝を挙げたティム・ウェイクフィールドなんかも元は内野手だったそうです。
ところが、メジャーの投手に対応できず不振にあえいでいた時に、キャッチボールで投げていたナックルボールがコーチの目に止まったことから投手に転向したという逸話もあります(笑)
野手の中には投手としての素質が高い選手がいる可能性もありますし、現にアマチュア時代はエースで4番だったという選手も少なくありません。
もしかしたらそういう選手の素質を見つけるキッカケになるかもしれませんね(笑)
クリスチャン・ベタンコート(動画当時SD)はキャッチャーでありながら、96マイルの速球だけでなくナックルボールまで投げちゃってます(笑)
最後に
私なりにいろいろな視点で野手の敗戦処理登板というものを考えてみましたが、個人的な感情を抜きにすれば選手枠に余裕のあるNPBにおいてはあまり大きなメリットはなさそうです。
しかし、シーズンの後半で順位が確定した頃であればファンサービスも兼ねて野手を登板させてみるのもありではないでしょうか(笑)
プロ野球の性質上簡単に試合を諦めてしまうのはあまり良いこととは言えませんが、それでもただ負けてしまうだけならば面白い起用プランがあってもいいかもしれません。
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